すみっこ(ウクライナ)で見た、聞いた、考えた

もはやブームではない!?文化的評価が高まる「お笑い」 について

本当にそんなに楽観的な話なんだろうか? 

むしろ芸の精進とともに芸能界内でのまさに日本的な人間関係に食い込めた者こそが残っていくのであって、それが芸のレベルの底上げになっているとは到底思えない。北野たけしや爆笑問題は芸の下積みと実力があって成功し、そこからはじめてもともと別の分野について持っている力を開陳できた(彼らはそのごく初期から自分たちのやりたいことを明確にしている)。しかし、それだけの深さがもともとない芸人に何が起きているかということは、ばかるでぃ(現:さまぁ~ず)やとんねるずやその他多くのコンビが端的にあらわしていると思う。


今のお笑い芸人たちはあるレベルに到達した時点でその芸が突然消滅してしまう。
ぼくが子供のころから同時代で見てきたコンビに「とんねるず」があるが、まさに駆け出しのころの「みなさんのおかげです」での彼らの体を張ったがんばりと笑いの内容の濃さは明らかに芸と呼べるものだったと思う。
しかし、そこから現在の「みなさんのおかげでした」に目をやるとそこにはもはや芸はまったく認めることができない。現在のとんえるずのあの姿こそ芸能界における終わりなきマスターベーションを愚民(トークや食べ歩き、旅行番組を量産し、そこにお笑い芸人を送り込めばいくらでも番組が出来上がると思っていると業界は明らかにそう見なしているだろう。でなければこの異常な数のトーク番組をどう説明するのか!?)に「芸」として信じさせることに成功した現代日本の病理体質そのものではないかと思うのだ。そこにいったいどんな芸の発達がありうるというのだろう?


先ごろ淫行問題で追放された「極楽とんぼ」の山本について興味深いことを耳にした。吉本は大して芸があるわけでもなく、人脈の面から業界に食い込むことで仕事を確保し、しかも若手芸人をけしかけて賃上げの突き上げをする山本が目障りだったので、この機会に切り捨てたという話だ。
現在、山本と同じような状況でテレビに出演する芸人がどれほどいるかを見てみれば、それがお笑い文化のサブカル脱却化→ポップ・カルチャー化へなどと口が裂けてもいえないのではないかと思うのだけど。




もはやブームではない!?文化的評価が高まる「お笑い」

 04年辺りに発生した「お笑いブーム」は、その後も衰える様子を見せず、現在も勢いを保っている。そんな中で、今年1月に出版された、劇団ひとりの小説『陰日向に咲く』は、現在50万部を超えるベストセラーとして、芸能界、出版界ともに大きな話題を呼んだ。さらに、3月には、爆笑問題が漫才師としての肩書きで、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するというニュースが飛び込んできた。これらのことが象徴するように、ここに来てお笑いというジャンルは音楽や映画とともに、主要エンタテインメントを扱うポップ・カルチャーの中で語られる時期に来たのではないだろうか( 写真はこちら )。

(中略)

 だがここに来て、ようやく状況は変わりつつあるように見える。冒頭で述べた爆笑問題の芸術選奨は、深夜番組『爆笑問題のススメ』が対象になったもので、バラエティのジャンルからの受賞は、設立以来初のことだった。また『陰日向に咲く』は、小説でありながらも明らかに劇団ひとりのひとりコントの延長線上に書かれたものであり、この作品が「『なりきり芸』に感心」(斎藤美奈子「文芸予報」、『週刊朝日』連載)といった、コント芸にリンクさせた評価を、文芸批評の中で受けたことは、「お笑い業界」全体にとっても、エポックメイキングな出来事といえる。

 こうした状況の変化は、今も続くお笑い人気が作り出したことは間違いない。今回のブームが、前回までのものと大きく違うのは、人気が長期間持続しているのに加えて、メインで活躍する芸人が従来と比べ物にならないくらい増えている点である。実に様々なタイプの芸人を、日常的にテレビで見ているうちに、視聴者自身が意識するかどうかは関係なく、自然と芸を見る目は養われていくもの。また、多くのブログやSNSで、お笑いライヴのレポートが頻繁にアップされているのを見ても、全体的に笑いに対する関心度が高まってきていることが分かる。

 ただ、お笑いをポップ・カルチャーとして批評する際に、理解してもらいたいのは、音楽や映画と同じく「評価軸はひとつではない」ということである。例えば、オリジナリティ面では劣っている芸であっても、それを補えるだけの親しみやすさをもっていれば、その芸人は十分評価に値するといえるだろう。そこのところを無視した、一元的な批評ばかりになってしまえば、却ってお笑いの世界を味気のないものに変えてしまう恐れもある。そういった偏った評価を避けるためにも、過去の歴史を振り返り、現代の視点で再評価することが、今後重要になってくるのではないか。

 お笑いがポップ・カルチャーのひとつとして広く認識されたとしても、何も芸人が文化人やアーティストの位置に納まるべきではないだろう。常に観客、視聴者の期待に応えながらも、自らクオリティの高さを追及していく「アルチザン」こそが、お笑い芸人の目指す道なのだから。(文/広川たかあき)
(オリコン) - 8月26日10時30分更新

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by exist2ok | 2006-08-26 23:53 | 芸能
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