すみっこ(ウクライナ)で見た、聞いた、考えた

竹内理三『日本の歴史6 武士の登場』

「平家物語」の読解補助のために持ってきたが、歴史的な全体の見通し、各論ともに明快かつ詳細で面白かったため、足掛け三日で読破してしまった。
解説の入間田氏によると竹内の論旨は古典学説であり、現在では異とされる部分も多いとのこと。とくに武士の起源に関してはいまだ議論の余地ありで、一概に私営田領主が配下農民に対抗する強制力としてさむらい化したものがはじまりとは言い切れないらしい。まあ、そこら辺の起源説は研究者ではない自分にとってはどうでもいいことである。

どんな時代でも転換に際してのキーパーソンはいるのだが、そういう人が有能だったり無能だったりするわけで、権力者がいかなる人物かで全体に与える影響が変化するのが興味深いところ。藤原清衡、後三条天皇、藤原頼長、藤原信西入道、後白河法皇が。清衡は奥州藤原氏の祖で、『炎立つ』はNHK大河ドラマで見た向きも多かろうと思うが、生い立ちの複雑さから身につけた政治感覚が奥州をまとめるまでになる。後三条天皇は摂関政治に一瞬開いた空白にあらわれた名君で公正な人柄に好感が持てる。在位が五年足らずというのがもったいない。荘園整理の他に、宣旨枡も定めていたとは知らなかった。以下の三人は奇人と思わせる類のエピソードが可笑しい。すさまじい読書家でもある杓子定規な頼長は政治でもぜんぜん妥協しないで周りから恨みをかってしまう。この人は政治なんかやらない方が幸せに生きられただろう。
信西入道は博覧強記の才人で出世後にわがまましずぎたため平治の乱で殺されてしまうが、宋の商人が来たときに中国語で世間話をはじめて人を驚かせる話がある。きかれて「もしかしたら遣唐使になることがあるかもしれないからこっそり勉強してたんだ」なんてさらりと答えるあたりが振るっている。
後白河法皇は今様好きが高じて「梁塵秘抄」まで作るほどだが、その打ち込み方が只者ではない。鳥羽上皇はじめ貴族から白い目で見られているのに、貴賎上下を問わず今様の名人だと聞くや召し連れたり出向いたりして、のどがかれてもう歌えなくなってもまだ打ち込んだというのだからすごい。今様ははやりの歌謡曲のことで、たしかにいま天皇陛下がモー娘とかにこりだしたら、、、と考えると後白河のハチャメチャぶりが想像つくというもの。


すみっこ(ウクライナ)で見た、聞いた、考えた
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by exist2ok | 2005-08-12 21:12 | 読書
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メキシコ、N.Y. L.A.そして現在はウクライナのハリコフ市に住むおがわがお伝えします。コメント・TB大歓迎です。どんどん絡んでくださいね。
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